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『ハリー、聞いたかい?
とうとうタクヤ、を手に入れたってさ!』
『タクヤあんなに頑張ってたんだもの。2人はお似合いよね。』
『も結構本気みたいだったよなぁ。
2人がくっついてこっちも安心したけどさ。』
『俺、あいつがまじめに告ったとこ、
初めて見た!まぁ、あんなに真面目に言われれば・・・なぁ?』
『ねぇ、。本当に・・・・付き合ってるの?』
『え・・・っと・・・・うん。』
『私たち、付き合ってるよ。』
「・・・っ!!!」
暗闇から光が得られた。
どうやら自分は寝てしまったらしい。
良く廻らない頭で周りをぐるり、と見渡した。
微かにざわめく部屋。
自分を取り囲むように並ぶ本の山。
あぁ、そうか。此処は図書室。
まだ終らない宿題を終らせようと図書室に来たんだ。
ハリーは枕代わりに頭を乗せていた
自分の腕をどけると、まだ埋っていない白紙の羊皮紙が出てくる。
ハリーはくしゃくしゃと癖毛の髪の毛を掻くと羽ペンをインクに浸した。
ぱらぱらと参考の本だけがめくられる音がする。
ハリーは、全くそのページを見ていなかった。
否、正確には見ていてもそのページを通り越して
何処か遠くを見るそんな目つきだった。
頭に響く、あの会話。
『本当に付き合ってるの?』
そう聞いたのは自分。
過去の自分。
『うん。私たち、付き合ってるよ』
そして、その問いには顔を高潮させて応えた。
その時の表情は最高に幸せそうで、最高に美しかった。
“あぁ、嘘じゃなかったんだ。”
あの時感じた感情は、正常なものではなかった。
寂しくて、苦しくて、タクヤを憎む気持ちと
に気持ちを伝えられなかった自分に腹が立つ感情と。
憎悪してゆく汚く、醜い感情が自分の心を蝕んでゆくのを
「よかったね、おめでとう。」
そう言って、笑顔で隠した。
それでも、自分は彼女にとって善人でいたい、と思った。
「駄目だ、集中できない」
ため息交じりにでた言葉に、ハリーはペンや羊皮紙、教科書をかばんに突っ込み
自室への道を辿る。ぼんやりとした頭にはもう課題の事なんか残っていなかった。
どさっ、とそれをベッドに投げると、
べたべたする汗を流す為、部屋についている風呂に向う。
きゅっと蛇口をひねると、冷たくも熱くも無い水が降ってきた。
ハリーは目を閉じて落ちてくる水に顔を向ける。
『僕、に告白したんだ。
そうしたら、は受け入れてくれたんだ。』
『うん。私たち付き合ってるよ。』
ジャージャー流れる水の音の中に
2人の声が聞こえる。
「・・・・ッ!!!!」
ガンッ!!と凄まじい音と同時に右手に走る痛み。
壁に伝う、ハリーの紅い命の液体。
生臭いような鉄臭さが浴室を満たした。
「どうして・・・・」
ハリーは血の流れていない手で顔を覆う。
瞳の奥にちらつくのは過去へのどうしようもない後悔。
もしかしたら変わっていたかもしれない。
この醜い感情を抱かずに済んだかもしれない。
そこまで自分は臆病だったのか。
ヴォルデモートと戦った自分の勇気は一体なんだったのか。
憎しみ?
両親を奪われた事に対する悲しみ?
そんなに醜い勇気だったのか。
「・・・どうして・・・・」
胸が苦しい。張り裂けてしまいそう。
涙が、止まらない。
「・・・・・・っ」
名前を呼んでも君には届かない。
名前を呼んでも君は僕を見ない。
君の隣にいるのは僕じゃない。
「・・・。」
今は、右手の痛みなんて、どうでもよかった。
心の奥がそれ以上に痛くて悔しくて、どうしようもなかった。