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“あの告白”を受けてから、もともと色の無かった世界から
色が全く抜けてしまった。
しいて云うならセピア色の世界が
モノクロの世界に変わってしまった。
そんな感じ。


「ハリー。」


クィディッチ競技場を目の前に眺める
校舎から少し離れた場所。
風に乗るような美しい声がして。



「・・・・アンナ・・・・」


ハリーが其の声に応えると、
声の持ち主、アンナは嬉しそうにハリーの隣にちょこんと座った。



「今日はずいぶん天気が良いね。ケーキ焼いたんだけど・・・食べる?」


きっと。

自分以外の人間が見たら
心底惚れてしまうような微笑。
彼女は、幼い笑いを向けた。

明るい声とともに差し出されたのは
クリーム色のケーキとフォーク。
一口食べると、酸味と心地良い甘さが口に広がった。


「うん、美味しい」
「本当?良かった!ハリー、甘いもの苦手だと思って。
 チーズケーキにしたんだ。」



楽しそうに笑ってそして自分もケーキに手を伸ばす。
フォークですくって、口に運ぶ。
それから私って料理上手いかもって呟いて。
笑いかけて。


「うん、アンナは料理上手いよ。
 だから、今度はお菓子じゃない、料理を食べたいな。」
「えへへ、分かりました―」


顔には“笑顔”の仮面を心には“涙”の仮面を。
忘れる、筈だったのに。
想いはとどまる事を知らない。
心の器を全て満たしてそれでも湧き出す水のように
溢れて止まらない。



心を掻き乱しては遠くへと流れてゆく。
フォークと包み紙を自分の隣によけて、アンナを正面から見る。


そして、アンナが口を開く前に
頭の後ろに手を添え軽く引き寄せる。
唇が触れ合った。



「・・・・んっ」




ほのかにレモンの酸味がする。
きっと、ケーキの中に使われていたのだろう。
唇を離すと、アンナは大きく息を吸った。
瞳は潤んでいて、何処か悩ましげに見える。



その瞳に優しく微笑みかけてそっと抱き寄せた。



「ごめんね、急に・・・。」

優しい声で呟くと
アンナは首を横に振った。


「アンナ・・・・」



ねぇ、さっきのキス。
を君とダブらせてしたんだって云ったら君は怒る?



「・・・なぁに?」
「好きだよ・・」
「・・・・私も。」


全部



全部



全部。


色さえなければ
偽りだって
何だってしても平気。



だって


僕から色は消えてしまったから。



「・・・・アンナ・・・・」



腕の中にいるのは



僕が欲するのは



君じゃない。