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良く晴れた、週明けのある日の事だった。
「ねぇ、ハリー」
「ん?」
何時ものように城の外を散歩をしている時に
彼女は不図立ち止まった。
ハリーもそれに合わせて足を止める。
何の気なしに傍にある木を見上げると
しぶとく残っている枯れた一枚の葉っぱが、
木の枝から引き離してやろうと吹き付ける冷たい風に抗うように
ユラユラとゆれていた。
アンナは笑うとハリーに向って小さな手を出した。
其処には綺麗にラッピングされた袋が、一つ。
秋の終わりに吹く風にリボンが靡く。
「これは?」
ハリーが不思議そうに首をかしげると
アンナは照れたようにエヘヘ、と可愛らしく笑った。
「これ、ちょっと形変なんだけど・・これからは寒くなるからと思って。
頑張ってみたの。」
ハイ、と手渡されたその袋は
袋の大きさに沿うように軽く、ふんわりとしていた。
ハリーは綺麗に包まれたリボンを解く。
中からは、ブラウンの手袋が出てきた。
「わぁ・・・凄い。これ自分で?」
「うん。よかったらつけて?」
ハリーがその手袋を取り出すと
アンナは照れたように首をかしげてハリーを見た。
その行動は、彼女の愛らしさを一番引き出す仕草だったのだが
恐らく、彼女はその事に気付いていないのだろう。
無邪気に笑った。
ハリーはそんなアンナに軽く微笑むと
手袋をはめる。
その手袋は、ハリーの手にピッタリとあった。
「凄い・・・ぴったりだ。編物も上手いんだね」
ハリーがそう言って微笑むと、
アンナは嬉しそうにはにかんで
笑った。
ハリーはその笑顔に
アンナを抱き寄せる。
「ちょ・・ハリー?」
ハリーの腕の中で
アンナは不思議そうな声を上げる。
ハリーはアンナを抱きしめたまま、
顔を上げさせないようにした。
顔を、見られたくなかった。
今の自分がどれほど醜い顔をしているか
どれほど悲しい顔をしているか。
誰の目にも映させたくは無かった。
どうしてもアンナを恋人としてみることが出来ない。
こんなに愛らしく
こんなに自分に尽くしてくれる
素晴らしい人なのに。
アンナといる時でさえ
彼女を心から消す事が出来ない。
あぁ、君があの人だったらいいのに。
彼女だったらどんなに良いだろう。
今、こうして腕の中にいるのが
あの人なら・・・・。
目を、閉じた。
今は、この人のことだけを考えろ。
彼女は、僕の手の届かない人なんだ。
アンナは僕の恋人。
誰よりも、愛しい人なんだ。
・・。
「・・・ハリー・・?」
アンナは何も言わないハリーを不思議に思い、
顔を思い切って上げた。
その瞬間、口をふさがれる。
一瞬触れたのは、もちろんハリーのそれで。
「有難う、アンナ」
心の奥で侵食を始める思いを
口付けで毒した。