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それからの日々はあっという間で
気づけばダンスパーティーはもう明日にまで近づいていた。
外は真っ白で相変わらず物静かな暗闇が空を覆っている。
ロンは忙しなく身なりを整えようと躍起になっているし
女子も、男子も皆浮き足立っているようだった。
「ハリーは結局参加しないの?」
「あぁ…うん、あまり良い思い出はないからね」
ロンは自分で質問しておきながら鏡の前で忙しなく身だしなみを気にして
ふーん、と声を出すだけだった。ハリーはベッドの上でその姿を見、
苦笑いを零すと手元の小さなアルバムに視線を戻した。
セピアの写真には、今は亡き大好きな両親が幸せそうに子供を−ハリーを抱きしめている。
次のページには入学した年のロンとハーマイオニー、そして自分が照れた笑顔を浮かべて写っていた。
賢者の石から始まり、名づけ親を失ったり、初恋はあっという間に散ってしまったり
ライバルだと思った先輩の死。本当に色々あった七年だった。
ぼんやりと写真を瞳に写し、ちょっとした感傷に浸る。七年はあっという間で、長かった。
幼く、自分に関して何も知らなかったあの頃と今では違う。大人になったものだ。
自分自身を客観してみるのは、何だかとても滑稽だ。
「ハリー、変じゃないよね?」
ロンの不安そうな声に意識を戻せば、びしっと格好を決めたロンがハリーに向かって
情けない表情を向けていた。初めてダンスパーティーに行ったあの頃とは違う、
真新しいつやつやとしたタキシードだ。
「うん、大丈夫。」
「本当に?大丈夫?」
「本当」
何度も確認をし、ロンは満足したのか、まだ不安げな様子ではあるが
ハリーに背を向けて何かぶつぶつとやり始めた。
ロンは格好よくなった、とハリーは正直に思う。ただ、時々頼りないのが玉に傷で。
双子のあのむちゃくちゃな自信を少しでも持ち合わせてたら良かったんじゃないかと思うが
破天荒なあの性格を受け継いでいたらそれこそ玉に傷どころの騒ぎじゃないので
ハリーは遠くから見守る事にした。もうお互い干渉するほど子供じゃないのだ。
ダンスパーティーは、明日。
彼女は一体、どんな気持ちでいるのだろう。
「珍しいね、こんな時間に外にいるなんて」
声を掛けると、その人物はぼんやりしたように振り返った。
オレンジ色の光を放つ暖炉からぱちぱちと炎が薪を食べる音がする。
「うん、ちょっと寝付けなくて」
「そっか、僕も」
困ったように笑った彼女は、はまた、珍しいね、と呟いて
暖炉に視線を戻した。困ったように笑った彼女に、同じような笑顔を返し
ソファの横まで近づいた。
座った彼女は何だか小さく見える。
「明日、行くの?」
は炎に視線を向けたまま声を出した。明日。日付はもう今日になっているけど
睡眠をとっていない僕らからしてみればまだ、暗い今はその日の前日。
僕はあぁ、とか言葉を濁してから、首を横に振った。
「行かない。」
「そっか。」
気まずい空気が流れて、会話はそこで終わってしまう。ぱちぱちと音のする其処だけを
二人そろって見つめて何となくぼんやりと、していた。
この話題は良くない、駄目だと分かっていながら僕の口は勝手に開いて
ずっと考えていた、頭の中に一つだけ浮かんでいたその事がのどを通って唇に乗っかって、
「…話、聞いたよ」
一瞬だけ、こわばった背中を見て、泣きそうになったのは、僕が、
「ね、ハリー。タクヤの事、酷いって言えるかな」
君を、好きだから